某週刊経済誌に、石垣食品会長のインタビューが掲載されている。

石垣食品は四十年前位に一世を風靡した「ミネラル麦茶」の開発で有名だ。
私の家でも夏は冷蔵庫で冷やしたミネラル麦茶がいつも常備されていて、水分補給にゴクゴクと飲んでいた。

テレビでも松島トモ子のCMがやたら流れていて、フレーズを自然と覚えた人が多かったように思う。
味はまあまあ旨いとは思うのだが、伊藤園の「おーいお茶」が発売されると水出しをする手間が省けるので私はそちらを愛飲する事になってしまい、「ミネラル麦茶」を飲む機会が無くなってしまった。

その石垣食品が危機に瀕している。
このままでは来年には上場廃止に至る事になるだろうとの見通しが強まりつつあり、その場合資金調達が難しくなるとの事。

元々債務超過なのは「四季報」をパラパラめくっている時に偶然読んだから、何となく知っていた。
しかし上場廃止となると、信用力が低下して取引先企業から切られたり現金取引のみ、みたいな条件を提示される事も増加しそうだ。

会長曰く
「ミネラル麦茶を試飲する機会を増やして、美味しさをアピールしていく。」との事だが、これでは戦略というよりは「やれる事がそれしかありません。」と言っているように感じる。

私としては40年近く前に愛飲していたお茶の会社なので頑張ってほしいと思うのだが、抜本的には買収してもらわないと生き残りが厳しいだろう。

そしてこの会社と同じような問題を個人不動産投資家は抱えていると改めて思う。

理由は「ミネラル麦茶」も不動産投資家のアパートも同様で、基本的には模倣可能な商品であり供給圧力が強い。
そして時間が経過するにつれて競合が増加して、価格競争に巻き込まれる。
場合によっては新規商品に駆逐される事もあるだろう。

郊外アパートの場合で言えば、世田谷区・練馬区や都下には遊休地や生産緑地が膨大にある。
これを地主が売らない場合、通常は収益物件化していく事になるだろう。
ロードサイドの場合は店舗、駅近いけれど道路幅がイマイチの場合は保育園やアパート等の賃貸、駅から多少距離がある場合は戸建て賃貸や畑付きアパート等。

このような膨大な供給圧力や資金力の前に、カツカツの資産しかない個人投資家だと駆逐されてしまう。
郊外の単なる木造アパートの場合「ミネラル麦茶」同様、価格競争や過当競争に巻き込まれ、借入金が多い場合は倒産するという事も有り得る。

私が西武線郊外に持っていた駅徒歩圏の一棟マンション兼店舗物件は、ロードサイド店舗用地に将来しても良いかなと思えるほど土地が広かった。

しかし近隣にも遊休地や農地が膨大にあり、少しずつ収益アパートや建売りになりと供給が増加してきた。
それで「このままではジリ貧だな。」と思い去年売却をした。

今は満室でうまく運営できても、将来的な価格競争に巻き込まれたら既存地主に全く対抗できないと思ったからだ。

郊外や田舎は基本的に無尽蔵に土地があり、木造の簡易な物件ならば数か月で供給できる下地がある。
こんな場所で数億も借金して運営するというのは、私のような度胸が無い人間には無理な話になる。

石垣食品も絶頂期だった三十数年前に、まさかこんな未来になるとは想定していなかったろう。
収益物件も三十年ローンの場合、そんな不確定な未来を予想しながら組む必要性があるだろうと思う。